『Wikipedia』

ウィキペディアが本と言えるかどうかは不明だが、
ウィキペディアをレビューしてみる。


ネットの百科事典ウィキペディア
実に便利で面白い読み物である。
トリヴィアルに面白いので、
毎日のように意味も無く調べ物をしたり、
新着記事のチェックに余念が無い。
ウィキペディア中毒なるものもあるそうだ。


それにしても、
まったく便利な世の中である。
あまりに短い間隔で真新しい技術が
次々に生まれて、
さながら技術や道具に
人の方が引っ張られているようだ。


商品は目まぐるしく変化し、
昨日使っていた歯ブラシは明日にもう無く、
一昨日食したカップラーメンは明後日には棚から消え、
カミソリは2枚、3枚、4枚と、
何時の間にやら増えて行く。
これでは人が選ぶ余地も無いと言うものだ。
逆説的だが、モノが溢れれば溢れるほど、
選択肢が多ければ多いほどに、
人は自ら決定し得る能力を失っていく。
もはやモノがヒトを選んでいる。


閑話休題(あだしごとはさておきつ)。
この調子で増え続ければ、
5年以内に100万件を突破するかもしれない。
一方、気がかりな面も多い。
まず、記事の質だ。
素人目にも分かるような間違いや、
読んでいて恥ずかしくなるような文章、
荒らし等の改竄行為。


以前、映画に関連する記事を読んだのだが、
内容以前に文章が最悪であった。
何を書くにしても文章力と言うのは必要である。
いくらなんでも「です・ます調」はやめて欲しいものだ。
あとは、語尾がずっと同じと言うのも問題だ。
何々なのだ。何々なのだ。何々なのだ。
貴方は何処のバカボンのパパさんなのだ、
まったく呆れて声も出ないなのだ。


記事の内容の質についてだが、
一次資料、つまり書籍などの文献に基づかずに
書く事など到底叶わないのであるから、
せめて全ての記事に参照元の文献を明示すべきであろう。
これをしないから、丸写しの問題などが出るのだ。


次に記事の種類に偏りがある。
特にアニメ関連の記事など、
どうでもいい事柄の充実振りには驚く。
一方で哲学・思想などでは、
スコットランド啓蒙(道徳学派)などの
主要な学派すらカテゴリー化されていなくて、
これはこれで驚いた。


記事の質の問題に戻るが、
内容量が少ないと言うのも問題だ。
(多すぎても問題だが)
たとえば、哲学関連などは、
皮相をなぞっただけのような記事が見られる。
まあ、解釈が問題となる学問は、
中立的な立場では書き難いのは事実なのだが。
もっと注釈を上手く使うべきではないだろうか。
特に辞書においては中立性以上に、
多義性に注意を払うべきであろう。