2006-12-01から1ヶ月間の記事一覧

思想風景

普段何気なく暮らしていると、 ふと周囲を見回せば、 風景が一変している事に気が付き、 大変驚かされる事がある。 同様に思想風景というものも、 一種の流行なようなものであるから、 やはり気が付くと原風景を 留めていない時がある。 元より原風景などな…

宮台真司「アンチ・リベラル的バックラッシュ現象の背景」

■昔からフランクフルト学派の人たちが言ってきた通りで、権威主義者には弱者が多い。これは統計的に実証できます。私の在職する大学で博士号を取得した田辺俊介君の博士論文『ナショナル・アイデンティティの概念構造の国際比較』(2005)が、ISSP(国際…

NHK『日本の、これから』

NHKの特番の『日本の、これから』を見た。 案の定、たいして面白くなかった。 以前からNHKは視聴者参加型の 番組の試みを続けてきていたが、 例の不祥事の後、 とみにこのタイプの番組を重視するようになった。 その姿勢の低さには見ていて痛ましさす…

永井荷風「十九の秋」、「妾宅」

当時わたくしは若い美貌の支那人が、辮髪の先に長い総のついた絹糸を編み込んで、歩くたびにその総の先が繻子の靴の真白な踵に触れて動くようにしているのを見て、いかにも優美繊巧なる風俗だと思った。はでな織模様のある緞子の長衣の上に、更にはでな色の…

朝日新聞社説「開戦65年 狂気が国を滅ぼした」

8月は一年で最も重苦しいようで、 実の所、最も浮ついた時期なのではないかと思う。 誰も彼もがこの時期になると、 あの戦争の事を思い馳せる様になるらしい。 陰惨な悲劇も年月を経ることで、 ただの年中法事と大差が無い様になった。 キリスト教徒でもな…

世界史と地政学

世界史なるものは存在しない。 それが曖昧ながらわたくしを 支配してきた歴史観であった。 事実として世界史なるものはなく、 あるのは世界史的という解釈のみである。 そもそも歴史観や歴史認識という言葉すら わたくしは否を唱えていた。 時間という空間的…

少子化問題

近年、大きく“問題”として 取り上げられているのが「少子化」である。 国力及び経済拡張の観点から見た場合、 それは確かに大きな“問題”である。 経済的には市場規模が縮小されるわけだし、 国力的にも昔から言われるように、 人口とは国力なのであり、 若年…

中高地歴公民教科書

日を追う毎に深刻な実態が 白日に晒されつつある問題ですが、 ある種、滑稽な喜劇じみて見えます。 カリキュラムを組んだ教員の 苦肉の策の結果でありましょうが、 結果としてみれば善意から生じた悪行と言えましょう。 今回の事件で入試制度や教育制度を問…