『交響詩篇エウレカセブン』

●ネタバレあり


再放送を見終えて今一度整理してみる。


あの終わり方に関して、
やはり色々と意見が出たようだ。
本作の脚本家は意図を理解されなかった、
と聞き苦しい弁明をあちこちで述べているようだが、
実際理解されたとてそれが果たして
本当に良いと言えるものだったか。


いくつか批判を打つなら、
まず1時間スペシャルの意味はあったか?と言う事だ。
再放送では30分で分けてしまっている。
それで何の不自由も無かった。


つまり単に二本立てしただけの事ではないか。
それだけなら、別に珍しくも何ともない。
そもそも同じプロデューサーの作品の
『SEED』でもやったはずだ。


テレ朝の『ソルティ・レイ』なんて、
三本連続で放送していた。
要するに放送スケジュールの問題でしかないのかもしれない。


一時間枠も使うのだから、
それ相応の工夫を凝らして欲しかったが、
30分見て、一回EDに入るのを見て、
我輩はその時点でまずがっかりした。


さすがに次の30分はOPをカットして放送したが、
それでも見る側としてはリズムを狂わされた。


しかも、救い様が無いのは、
エピローグをはしょってしまった事だ。
折角、登場人物が多いのだから(しかも生き残っている)、
エピローグで後日談を数カットでもいいから、
描けばよかったものを良く分からないままに
終わらせてしまった。


これはチャネラーじゃなくても憤慨するだろう。
まあ、そもそも視聴率は低かったのであるが。
と言うか、あれはどの辺の世代の狙っていたのか、
良く分からない。


青臭くもあり、かと言って子供向けでもない。
成長しているようで、成長してなかったのかもしれない。
あの終わらせ方では単なる人柱賛美でしかない。


脚本の佐藤大氏は、
攻殻機動隊SAC』や『COWBOY BEBOP』など、
素晴らしい経歴をお持ちだが、
今回の仕事振りは正直如何なものか。


まず、ネタのパクリが酷すぎる。
それでも面白ければ良いのだが、
例えば、『不思議の海のナディア』みたいに。
ところが、パクリ方が良くない。
面白くない。と言うか、呆れる。


次に伏線張り方がイマイチ。
最終的に謎を放り投げただけで
終わらせてしまったような気がする。


分からないと言う事は人間にとって苦痛な事なのだが、
それが少しづつ解けていき、
最後に一つに繋がった時、
それは快楽に昇華される。
所謂カタルシス


攻殻機動隊SAC』とその続編は、
一話完結のストーリーと、
シリーズとしてのストーリーに関わる話が、
上手い具合に織り合わされて、
一本のシリーズとして高い完成度を誇っている。


それ以上に大きいのは、
ギミックの使い方の差だろう。
きちんとコンセプトに沿って、
かつストーリーに意味を与えるような
言葉を用いている、いないの差だろう。
意味の無いギミックはその数の分だけ
作品を悪趣味に変える。


思うに『エウレカ』は、
もう少し圧縮した方が良かったかもしれない。
途中の意味の無いストーリーやシーンを削れば、
30〜40話くらいには絞れるのではないだろうか。


途中までは方向性がまだ分かったのだが、
途中から何処行っているのか分からなくなってしまった。
後半部分のサッカーの話など、
特に迷走振りを表していた。


正直なところ、一つの作品として、
何がしたかったのか、
何を伝えたかったのか、
何を意図していたのか、
判断に苦しむ。


エウレカ』は前半まで中々良いあるいは、
期待を持てる作品だったので、
後半と終わり方は、
少々残念であった。


ところで、某掲示板で見かけた意見で、
結局、「エウレカセブンのセブンって何だったんだ?」
というのを見かけたが、
おそらく「セブンスウェル」の事だろうが、
確かにあんまり話に絡んでない。


片割れのタイトルの「エウレカ」の方にしても、
「Eureka!―『I have found it!』―」
つまり、私は発見した、見つけたと言う意味だが、
少年と少女は何を見つけたのだろう。
そして、我々は何を見つけたのだろう。


小さくとも何かあれば、良いのだが、
少なくとも私には何も見つからなかった。