覚書

「ゼロ年代の想像力」に寄せて

今日の著作家は長い間研究してきたテーマについて書こうとペンをとる際に、次のようなことを念頭に置いておくべきである。つまり、そうした問題について一度も考えたことのない普通の読者がたとえ彼の著作を読むにしても、それは彼から何か学ぼうとするため…

プロパガンダについての短い覚書

芸術や娯楽、それらはプロパガンダの歴史と密接である。 特に映画に限ってみれば下記のような歴史を辿っている。 レビュー映画(米) ↓ ナチスのプロパガンダ(独) ↓ ソビエトの映画 ↓ 北朝鮮の映画 レビュー映画というのは、 アメリカのニューディール体制…

哲学者の神話的伝説

我々が知っている哲学…… もっと卑俗的に言えば哲学史的“知識”の中には、 伝説的あるいは神話的なものが多々含まれている。 例えば、ソクラテス。 彼の有名な言葉、 「汝、汝自身を知れ」 「悪法も法である」 この二つともがどうやら事実誤認であるようだ。 …

F・ブローデル『物質文明・経済・資本主義 日常性の構造』

最近、フェルナン・ブローデルという フランスのアナール学派の中心的な歴史家の主著である 『物質文明・経済・資本主義 日常性の構造』を読みました。 多少オーバーに表現すれば、それは私の蒙を啓いてくれました。 特に感銘を受けた部分を要約すると以下の…

クローズアップ現代「ブンガクに異変アリ!?(笑)〜台頭する若手作家たち〜」

随分前に、NHKのクローズアップ現代で、 若手作家ブームついての特集があった。 内容がなかなか興味深いものであったので、 その内容の備忘録を日記に残す。 No.2047 3月7日 月曜日 「ブンガクに異変アリ!?(笑)〜台頭する若手作家たち〜」 …

プロットについての私的覚書

「展開」と「構成」は作品において もっとも重要な要素の一つであるが、 その区別は少々曖昧であるように思われる。 思うに、「構成」とは、 見取り図であり、あるいは設計図であり、 また、骨組みでもある。 一方、「展開」とは、 工程図、あるいは作業手順…

暴力ゲーム規制

随分と前に、NHKのクローズアップ現代が、 「ゲームは子供に有害か?」(No.2150)という題で、 昨年6月に神奈川県がGTAⅢを有害図書に指定して、 販売規制に乗り出し、波紋を広げている問題に関して放送していた。 それに関する賞味期限の切れた考察…

近代的自我と視点(人称)の問題

日本語の特徴に一人称の種類が多いということがある。 西洋語はおおむね一人称が 英語であれば「I」, ドイツ語であれば「Ich」 という具合に統一されているのだが、 日本語だと、 私、僕、我輩、小生、朕、余、我・・・・・・ などと無数に存在している。 隣…

人形についての断章

神はその似姿として人を作ったという。 それは土くれで出来た人形だった。 我らは自然より切り抜かれ、 魂を与えられた。 故に我らは生まれながらにして、 自然からは隔てられた存在である。 『ローゼンメイデン』というアニメがある。 生きた人形(アンティ…